プロジェクトストーリー水上のカーボンニュートラル「電動推進機」-03-

Honda電動推進機プロトタイプ
乗船体験会レポート

Hondaは2023年8月から島根県松江市で電動推進機プロトタイプの実証実験を行っています。松江城の堀を使用した「ぐるっと松江 堀川めぐり(堀川遊覧船)」。実証実験がスタートしてから、堀川遊覧船の関係者や松江市の関係者など多くの方々にご協力をいただいてきました。そして、10月22日と29日には、実証実験開始後はじめて松江市民の皆さんを対象とした「Honda電動推進機乗船体験会(以下:乗船体験会)」を開催しました。
実証実験開始後、松江市や堀川遊覧船には市民の方々から「早く乗船してみたい」という声が寄せられていたそうで、2日間の乗船体験会参加者募集には80名以上の方々からご応募をいただきました。
今回は、乗船体験会に参加いただいた方々の貴重な意見をレポートします。

松江市民の方々が考える、
堀川遊覧船の魅力

今回、乗船体験会に参加した松江市民の方々のうちの9割は堀川遊覧船に乗船した経験があり、そのうち4回以上乗船したことのある方々は4割を超えていました。
遊覧船を「日常風景のひとつ」と捉えている皆さんに魅力を聞いてみると、「自然を感じながら、歴史を知ることができる」「船の上からゆったりと石垣やお城を眺めることができるという非日常感がいい」「城下町の風情や四季の移ろいを水上から楽しめる」「水面から街並みを見られて、豊かな自然を感じられるところ」など、松江城の堀にある遊覧船ならではの魅力を語る方々が多くいらっしゃいました。
また、「船頭さんの唄とお話が聞けて、松江についての豆知識も得られる」「松江市の観光スポットを巡り、船頭さんが詳しく解説してくれるので実際にそこに行ってみようと感じさせる魅力がある」など、船頭さんとのコミュニケーションを中心に魅力を語られる方も多数いらっしゃいました。
1997年に運航を開始した堀川遊覧船は松江を訪れる観光客のみならず、市民にも広く親しまれていることが伺えました。

電動推進機乗船体験会の開催概要

お掘り端の木々が少し色づき始めた、秋晴れのさわやかな天候の中で開催された乗船体験会は、特別な試乗コースで行われました。

乗船体験会に参加された方々は、最初にエンジン船外機搭載の遊覧船に乗船し、その後、電動推進機プロトタイプ搭載の遊覧船に乗り換える形で実施。普段から慣れ親しんだエンジン船外機搭載の遊覧船に乗った参加者の方々は、リラックスした様子で秋深まる水上散歩を楽しんでいました。その後、参加者の方々は電動推進機プロトタイプ搭載の遊覧船に乗り換えて、違いをじっくりと体感されました。最後に、電動推進機プロトタイプの開発責任者であるHondaの高橋から技術的な説明をさせていただき体験会プログラムは終了しました。
最初にエンジン船外機搭載の遊覧船に乗船していただきました。
その後、電動推進機プロトタイプ搭載の遊覧船に乗り換えて違いを体感していただきました。
体験会の最後には、電動推進機プロトタイプで使用しているバッテリー(Mobile Power Pack e:)などについてご説明いたしました。

乗船体験会に参加された
松江市民の方々が感じたこと

乗船体験会を終えた参加者の方々の多くは電動推進機プロトタイプの遊覧船に対して、「とても静か」「(排気ガスによる)ニオイがしない」「身体への振動がほとんど感じられず、快適」など電動ならではのメリットに驚かれた様子でした。
音の静けさに対しては、「鳥のさえずりや、道を歩いている人の会話やクルマの走行音、お濠端の民家の生活音が聞こえる程静かで、従来のエンジン船以上に水面から松江城を眺めるという非日常さを感じられた」「波の音が心地よく、船頭さんのガイドがよく聞き取れた」「同行者との会話が弾んだ」などの感想をいただき、電動化のメリットを具体的に体感していただけたようです。
さらに、「水面を滑るという表現がピッタリ」など、さまざまな視点から電動化がもたらす新たな「気付き」や「遊覧船の可能性の広がり」を語っていたのが印象的でした。

電動推進機プロトタイプに期待すること

参加者の方々に乗船体験会を通じて、電動化した遊覧船に期待することを聞いてみると、「プレミアム感があって良い。早期に全船に導入して欲しい」と、堀川遊覧船の電動化を希望するご意見や、「電動化を積極的にPRして、環境に配慮した観光の先駆けとして全国をリードして欲しい」といった、これからのツーリズムを見据えたご意見も伺うことができました。
また、音が静かなことや排ガスによる臭いがないことを活かして「船上で食事やお抹茶を提供する」「クラシックやジャズを流したり、蝉しぐれや秋の虫の音など、自然の音だけを楽しんだりする船上イベントを催す」「水辺に棲む生物の観察会を船上から行う」「屋形船のように飲食できるようにする」「水灯篭を堀川に浮かべて、夜の運航をする」「遊覧船の屋根を外して水上から星空観測をする」など、堀川遊覧船の新たな魅力を掘り起こすような具体的でユニークな提案も数多くいただきました。

今回ご参加いただいた皆さまからの貴重なご意見は、今後の実証実験や電動推進機プロトタイプのさらなる魅力づくりのために役立てさせていただきます。
当日は現地テレビ局の取材が入っており、乗船体験後にインタビューに答える参加者の方々。
地元高校生の取材チームから質問を受けるHondaの開発責任者
乗船体験を終えて記念撮影をするご家族も
水上のカーボンニュートラルへの挑戦!
電動推進機の現在地